睡眠のしくみと心身との関係
睡眠とパフォーマンスの関係

気づかないうちにパフォーマンスが低下
徹夜した翌日は、強い眠気を感じたり、パフォーマンスが明らかに落ちていることに気づく方が多いと思います。しかし、日々の睡眠時間が6時間程度で、本人は十分眠れていると感じている場合はどうでしょうか。実は6時間の睡眠時間では、本来必要とされる睡眠時間にわずかに足りていません。
1日あたりの睡眠不足はわずかでも、この状態が続くと自分では気づかないうちにパフォーマンスが落ちてしまうだけでなく、病気になるリスクが高まる場合があります。米ペンシルバニア大学などの研究チームが行った実験では、毎日6時間睡眠を2週間続けた場合、脳は2晩徹夜した状態と同等の状態になることが判明しています。
睡眠不足による生産性低下の兆候
脳神経科学者で早稲田大学研究戦略センターの枝川義邦教授によると、睡眠負債に陥っているかどうかを自己チェックできる代表的な兆候は次の3つです。
- (1)起きたときにスッキリ感がない
- (2)午前中に眠くなる
- (3)布団に入るとすぐ眠りに落ちる
この3つの中では、特に(2)の「午前中に眠くなる」という点がポイントです。 朝、目覚めて3〜4時間は、脳の働きが最も活発になる時間です。この時間帯に眠くなるというのは、睡眠負債が原因だと考えられます。一方、昼食後の時間帯に眠気を覚えることは、睡眠負債が無くても起こります。体内時計の働きから、食事の時間とは関係なく、午後2時頃は、人間がもともと眠気を覚えやすい時間帯なのです。
また、(3)の「布団に入るとすぐ眠りに落ちる」ことが健康的で良いと思っている人も多いようです。しかし、睡眠負債がない場合、15分程まどろんだ状態から深い眠りに入ることが正常です。まどろみの時間がないのは、睡眠負債がたまっている証拠なのです。
上記3つ全てに当てはまる人は、睡眠不足によって生産性が下がっている可能性が高いので、正しい睡眠の知識を得て、睡眠の質を上げていきましょう。
月曜日のダルさの原因
週末に寝だめしていませんか?
人間の体内時計はちょうど24時間ではなく、24時間と数分から数十分のずれがあります。このずれを生活サイクルの周期と合わせるように修正するカギとなるのが朝の太陽の光です。朝日を浴びることで眼から入った太陽の光の情報を、網膜を通して視交叉上核(しこうさじょうかく)が受け取ると、視交叉上核にある体内時計がリセットされ、24時間という一定のリズムに調整されるのです。しかし、週末に不規則な生活をすると、ホルモンバランスが崩れ、体温、睡眠と覚醒、代謝のリズム等が狂ってしまうことで、月曜日にダルさを感じる状態になります。
月曜日のダルさを解消する方法として、休日の朝寝坊は「2時間まで」にするのが望ましいです。2時間を超えると、体内時計が狂いやすくなるからです。もし昼寝をする場合は、お昼の12~15時の間の1~2時間程度にとどめましょう。この程度であれば、「なかなか眠れない」、「眠りが浅くなる」など夜の睡眠に悪影響が及ぶことはないと言われています。